その日,太郎の父親は上機嫌だった.課長への昇進の内示があったのだ.
太郎の父: おい,太郎.ちょっとこい.
太郎: なんだよ
太郎の父: 小遣いをやろうっていうのに,いらないのか?
太郎: お父さん,さすが課長ともなると,人間一回り大きくなるんだね.
太郎の父: どうせお世辞を言うにしても,もう少しましなのが言えないのか
こうして,太郎は父から1万円をもらったのだった‥‥
太郎は,父からもらった1万円をもって,町に出かけた.
太郎: 一万円って,あっさり使うには惜しいし,かといって,バイクが買えるわけでも ないな.
そのとき,宝くじ売り場が,太郎の目に飛込んできた. 宝くじ売り場には『2等200万円この売り場から出ました』と張り紙がしてあった.
太郎: おばさん,一枚いくら?
売り場のおばさん: 200円だよ
太郎: じゃあ,続きで,50枚ちょうだい.
こうして,太郎は宝くじを買った.
ある日,太郎は何気なく新聞を見ていた.そこには,宝くじの当選番号がのっていた.
太郎: そういえば,宝くじ買ってあったんだ.
太郎は,宝くじを探しにいった.
太郎: あった,あった. かわいい,宝くじちゃん.ぼくに幸せを運んできてちょうだい.
太郎のテンションは妙に高かった.
太郎: やっぱ,一等2,000万何てあたらないよな〜. なになに,おお,3等だ! 3等っていくらだ,50万だ,これならバイクに手が届くぞ.
太郎は,当った50万円を手にしてバイクを買いにいった.
太郎: おやじさん,このバイクいくら?
バイク屋のおやじ: 60万だよ.この値段,めぃいっぱいのサービスだ.
太郎: ん,50万しかないんだけれどもまけてくれない?
バイク屋のおやじ: にいちゃん,いくらなんでもきついぞ. あと10万ローンにしてやるからどうだ. どっかでせっせとバイトでもすれば,10万ぐらいすぐだろう?
太郎は,10万円のローンを組んでバイクを買った.
ある日,ローン会社から電話がかかってきた.
ローン会社: お宅の太郎さまのローンの引き落としができないのですが.
太郎の父: ローン?そんなもの組んだ覚えはないが?
ローン会社: お宅の太郎さまが,バイクを購入なさったときの代金の不足分のために,お組みになったものなのですが?
太郎の父: あれは,太郎が宝くじで当った金でかったとか聞いていたが. せがれは20歳になっていないから,私が認めていないようなローンは無効だ! びた一文はらえるか!
さて,このローン契約は無効になって,太郎はバイクを手に入れられないのでしょうか?